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「外国語を学ぶということ」を、日本語を通じて考える一冊。


本日はしばらくぶりに、オススメ本を一冊ご紹介しときます。


日本語という外国語  (荒川 用兵著、講談社現代新書、777円)


「ほんの数ヶ月でチョイチョイと英語がうまくなる」みたいな広告や宣伝を、あちこちでコレデモかとばかりに見せつけられていると、なんだか感覚がマヒしてきて、「これだけがんばってるのに、いっこうにうまくならないオレがおかしいのか?勉強のやり方にそんなに問題があるのか?」などと、ついモンモンと一人で悩んでしまったりします。


しかし外国語を身につけるって、世間で言われるほど簡単なことじゃないんですよね。

今のやり方よりも多少効率良く学べる方法くらいならあるのかもしれませんが、マスターする・自分の血肉となるほどの高みに達するのは、誰にとってもやっぱり、時間のかかる難しいことなのです。


で、結局、ときにそういうモンモンとした思いを抱えながらもジリジリと前に進んでいくより無いのですが、それでも時に行き詰まり、同じところをグルグルまわっているかのような思いにとらわれることも確かです。


そういうときはまたやりたくなるまで放り出しておこう、と以前の記事(これとかこれ)にも書きましたが、それ以外に「まったく別の方向からいまの悩みを眺めてみる」というアプローチも、ちょっとした気分転換になります


この本は英語の学習本ではないけれど、そんな心持ちのときに読むのには、うってつけかもしれません。

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20年以上にわたって外国人に日本語を教えてきた日本語教師である著者が、日本語を「外国語」としてとらえなおし、別の視点から日本語をながめることの魅力と面白さを綴ったのが本書です。

ここで「なんだ、日本語の本じゃん」とは言うなかれ。


外国人にとっての外国語となる、この日本語。

それを身につけようとする彼らの学習プロセスや思考の跡をたどることは、我々にとっての外国語である英語を学ぶために大切ないくつかのことについて、示唆に富むヒントを与えてくれます。


とかく日本人は日本語を独特のことば、難しい言葉だと思いたがりますよね。

そんなに難しい日本語を上手に話す外国人がたくさんいるのに、自分ときたら日本語よりやさしそうな英語ひとつ、ロクに話せない…。

が、果たして、本当にそうでしょうか。


あなたが今、日本語をまったく知らず、また話せない状態にあると、ちょっと想像してみてください。

ゼロの状態から、これから外国語としての日本語を習おうとするときに、果たしてアナタは、どんなことを難しいと感じるでしょうか。

そして日本語は、やっぱり英語より難しいと思うのでしょうか。

それとも予想に反して、英語よりはやさしそうだと感じるでしょうか。


この本は、そういった現実では絶対に不可能なことのいくつかについても、具体例を豊富に引きながら、疑似体験させてくれます。

著者によると、日本語は他の言語と違うところはあるものの、話し言葉としては音や構造が飛び抜けて難しいわけではないとのことです。

また、音の数が少ないこと、フランス語などと違って動詞の活用がシンプルなことが学習者にとって大きなメリットであることから、「話し言葉としての日本語は意外にやさしい」とも記しています。


このように日本語の構造という点から、また日本語の読み書き・発音・文法・表現のそれぞれについて興味深い特長を指摘しながら、教育の現場で外国人に日本語をどのように教えているのかを、わかりやすく語ってくれます。


どれも日本語をあたりまえに話す私たちが気づかない、言われてはじめて思いあたるような気づきに満ちていて、ひとつの外国語教育論としても、この本は面白く読めます。


ただ、英語学習者としては、できれば「外国語を学ぶとはどういうことなのか、学ぶなかでどのようなことが問題になってくるのか」について、自分自身の問題としてリアルにイメージしながらこの本を読んでほしいですね。


この本を読み終えたあとは、「英語という外国語を学ぶ」ことが、きっとこれまでとは少し違った景色として見えてくることでしょう。

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