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英語力をつけるために~レアリアとしてのキリスト教


前回の記事を続編アリにしておいて、年をまたいでしまいました。


英語学習におけるレアリア背景知識~の大切さについて、話してましたが。


レアリアが必要な理由は、話す自分も聞く相手方も、どちらも感情を持ち思考する、生身の人間であることにつきると思います。


「英語や英会話は仕事の道具であり技術」と割り切って臨む学習アプローチを必ずしも否定はしませんが、その道具を使って反応や効果を確かめる先にいる相手もまた、アナタやワタクシと同じく長い時間を費やして、現在の自分を形成しているわけです。


母国語であろうと外国語であろうと、パターン化されたフレーズや用語を丸暗記したうえでこちらのやりたいようにアウトプットしてみることも、経験すべき大事な学習プロセスであることは言うまでもありません。


しかし、いつまでも「英語は道具に過ぎない」とか言っていると、いつか相手への関心が薄れてしまい、どうしても自分の用件を済ますことに神経が集中してきがちです。


「こちらのポイントさえ伝わればいい」「なんだか高尚なことを言ってるようだが、要するにノーということだね」などと、自分に都合よく細部を切り捨て話を端折ってしまうのが、上手なコミュニケーションであると思うようになりやすいのです。

ビジネスシーンだけならそれでも通るかもしれませんが、自分の発した英語を受け取る相手はマシンではなく同じ生身の人間であることは、やはり忘れたくないもの。


レアリアの重要性を意識しながら外国語を学ぶことは、自分のためのみならず、ひいてはその言葉を使う世界に生きる相手の人格を認め、敬意を払うことにもつながるのです。


英語学習者として知っておきたいレアリアはいくらでもありますが、前回の記事の末尾でキリスト教を知ることの重要性に触れたので、その話をします。

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(なお、以降はキリスト教の体系を学び自分なりに理解することが、英語力の向上のために必要だという趣旨です。個々人が何を信仰するかとは別次元の話ですので、そこはご了承のほど。)


西欧では無宗教の人が割合的に増える傾向にあり、また教会に礼拝に訪れる人の減少も、どうやら世界的な現象のようです。

「パーティでは宗教と政治の話題はタブー」などと言われますし、宗教や信仰の話をネイティブとサシで深く掘り下げて行う機会は、アナタには生涯訪れないかもしれません。


しかしそうだとしても、「知らないこと」と「知ったうえで、あえて触れない」ことの間には実に大きな違いがあることは、容易におわかりでしょう。


かりに「あなたは無宗教なのか?いったい日本人は、神のいない人生をおくることを良い思っているのか?」と、目の前にいるネイティブから真剣に問われたものと、想像してみてください。


これはクリスマスを祝い、初詣に行き、仏前で手をあわせる多くの日本人にとって、日本語ですらなかなか回答の難しい問題でしょう。

上記の問いに対して、「ワタシはこう思う」という考えがあなたの中できちんと固まっているなら、これは言語が何であるかを問わず、あとはその思いをどう的確に表現するかという話になってきます。


よく「英語を中途半端にやる前に、日本語力をしっかり身につけるべきだ」という議論が出てきますが。

英語が口からでてこないときは、「では日本語だったら、自分の思いを確実にスラスラと伝えることができるだろうか」ということを、まず確かめてみるべき
ですね。


アナタが話すその相手がキリスト教徒であるとき、彼または彼女の思想や人格を形成する重要な一部が、会話の端々にカケラも現れてこないと考えるほうにこそ、無理があります


プロテスタントやカトリックなど違いはあれど、数千年の歴史を持つキリスト教は言語を通じて人々の人格や思想に染み入り、多くの英語表現を生み出してきました

英語がある程度「わかる」という感覚を持つためにも、キリスト教そのものに対する理解を深めることは、英語を学び続ける以上避けて通ることはできないレアリアなのです。


たとえばImmaculate Conception(無原罪の御宿り)という言葉に正しく日本語訳をあてることができても、マリア信仰にかかわる歴史の文脈をはりつけて覚えない限りやがて忘れてしまうでしょうし、この英語表現をアナタが自在に使いこなせるようになることも、決してないでしょう。


ビジネスの道具として英語の取扱いがうまくなることだけでなく、人の感情や考えが行き交うコトバとして英語をもっと深く学びたい…と思っているのなら、キリスト教の成り立ちと現在の状況についての知識を得ておくことが、アナタの英語力を必ず豊かで厚みのあるものにしてくれます。


まぁそうは言ってもキリのない世界ですし、「何をどこまでやったらいいの?」という問題は、確かにありますけどね。

アナタの主な関心が英語・英会話の力を高めることにある以上、ある程度「キリスト教についての勉強はこのあたりまで」というラインを、自分の中に引いて置く必要はありそうです。


たいていの日本人は、宗教については高校の世界史でサラッと重要な史実についてのみ講義を受けて、「あとは興味のある人だけ勉強してくださいね」と放り出されているわけで。

「学問・教養としての、宗教の学び方」そのものについて教えられた経験は、まぁ無いですよね。


人によってさまざまなアプローチがあるでしょうが、王道のひとつに「タテ(時系列)で切って、ヨコ(他との比較)にも切る」という学習法があります(歴史の勉強などでも使われるやり方です)。

キリスト教でいえば、まず旧約・新約の世界~カトリックと東方キリスト教、宗教改革を経たプロテスタントの分離と対抗宗教改革・海外布教、そして現在に至るまでのポイントなどを時系列的に学び、次にイスラム教や仏教など主な他宗教と比較することによって、その違いや類似点を見ていきます。


英語の勉強として考える場合、まず先に日本語の本や資料でひととおり知識を仕入れることを、個人的にはオススメしたいですね。

またはじめて勉強する段階では、(英語でも日本語でも)聖書から入るアプローチはオススメしません


日本の一般大衆にもっと関心を持ってもらうべく、聖書も口語訳とかマンガ版とかわかりやすいものが、いろいろ出てはいますが。

それでも聖書を読む以前に、キリスト教成立の歴史と主要な登場人物・事件などを先に大まかに把握するほうが、スムーズに運ぶと思います。

そしてひととおり学んだあとは、「日本語で」キリスト教についての大まかな背景知識と、一日本人としてキリスト教や宗教についてどう思うかを口に出してみたり、ノートに書きだしてみたりするとよいでしょう。


英語でどうこうするのは、まずここまでができてからの話です。

こういった重いテーマについてThink in Englishなんて言われたって、ムリムリ(笑)。


最後に、英語の初学者がキリスト教について学ぶ場合の取っつきやすさという観点から、ま、信ずるものは救われるということで(笑)、個人的なオススメ本を数冊あげておきましょう。

当ブログらしくすべて日本語の本をご紹介するので、ご安心を。


なおこれらは、1)→4)の順番で読むことをオススメします。

どれも全体に読みやすいですが、3)と4)はやや聖書の個別的な内容が入ってくるため、先に1)と2)で全体像をつかんでおいたほうが、個々のトピックの理解も進むでしょうから。


1)ものがたり宗教史(浅野典夫 著、ちくまブリマー新書)

ユダヤ教とキリスト教、仏教やイスラム教についても解説。
初学者に向けてキリスト教の歴史と特色を、読みやすくわかりやすくい文章で解説しています。

まずひととおりキリスト教の章を読んだ上で、イスラム教と仏教の章も、後の比較のために目を通しておきましょう。


2)PEN「キリスト教とは何か。」「キリスト教とは何か。Ⅱ」(阪急コミュニケーションズ)

月刊PENの、キリスト教特集号2冊です。

豊富に掲載されたキリスト教絵画や図表が、本文記事の理解を助けてくれます。
雑誌ですので気軽に読めますが内容的にはかなりレベルが高く、全体像がコンパクトにまとめられています。


3)歴史の中の「新約聖書」(加藤隆 著、ちくま新書)

新約聖書の専門家である著者が、キリスト教と聖書について解説。

タイトルのとおり、歴史の文脈において新約聖書がどう編纂され、どのような歩みをたどって今日の姿に至ったのかを、わかりやすく解説しています。
とりわけキリスト教の初学者は、新鮮な気づきを多く得られるでしょう。

本書内に『「聖書を全部読んだことがあるか」というのは、キリスト教徒たちが互いに時々こそこそ口にする質問です。…つまり、聖書全体が分かっていないのです。』(237頁)という一文がありますが、これには思わず笑ってしまいました。

専門家でも聖書全体を通読するのは至難とのことで、初学者ならなおさらですよね。
ちょっとホッとします。


4)キリスト教のとても大切な101の質問(J・H・クラウセン 著、高島市子 訳、創元社)

プロテスタントの神学者がキリスト教に関わる質問に答える、Q&A本です。
なので、マリア信仰や聖人信仰は否定されています(意味がわからない方は、先に上にあげた本のご一読を)

キリスト教徒以外の人が素朴に抱くような質問を101個、類型的に取り上げて真摯に回答しています。

一神学者の考えとはいえ、「信仰する者はこのような考え方をするのだ」という思考のプロセスがあちこちかいま見えて、実に興味深かったです。
キリスト教の基本知識も要所に登場しているので、1)~3)の本の復習がてらにも読めるでしょう。

本書内では、たとえば以下のような質問が掲載されています。立場のあるキリスト教徒がこれらの質問にどう回答しているのかを知りたい方は、同書でご確認ください。

・自然科学者は天地創造の物語を信じることができるのでしょうか
・神は悪意を持っていますか
・アメリカ人はなぜ西欧人より信心深いのですか
・キリスト者にとって「隣人」とは誰ですか
・現代社会は何のためにキリスト教を必要とするのですか
・キリスト教は絶対の宗教ですか


ということで、またまた長くなりましたが。


上にあげた本をひととおり読んだ後は、キリスト教についてのおおまかな輪郭をつかんだ感覚を持てるはずです。


いま、社内で英語を公用語に…とか力が入った企業もチラホラ出てきてますが、オフィス英語に多くある「見積もりを明日6時までメールしろ」とか「プロジェクトのアサインは済んでます」とかいった、ある種のパターン反復と条件反射的英語ばかり熟達したところで、なんとなくココロが乾くというか、いずれ空しくなってくるものですよ。


これまで知らなかった世界についてレアリアを構築し、そこに自分の思いや考えをのせていく、そしていつかは英語でも日本語と同じように、それらを表現することができるようになる。


英語を「生きた人間が話すコトバ」としてとらえるなら、最終的にはそこを目指して、豊かなレアリアを自分の内に築く勉強を続けたいものです。

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