急速に身につけた英語や英会話力は、急速に忘れる運命に。
気がつくと前回の記事を書いてからすでに8ヶ月が過ぎ、日記と名乗っていてよいのか?状態になっていますが、何事もなかったかのように更新を続けたいと思います。
できれば月イチ更新位には、ペースを戻したいところですけど…。
久しぶりに書くネタを提供してくれたのは、2年近く前に書いたこの話の続報的ニュースです。
えぇ、「社内の公用語を英語にする」ということで、この2年間を準備期間としていた、とある(笑)国内最大級のインターネット総合サービス企業が、いよいよその完全実施に踏み切ると発表したのですよ奥様。
判断のモノサシとしてTOEICスコアを使うようで、役員ともなると800点必要だとのこと。
部門ごとのTOEIC平均点とか比率とかを、毎週競い合うそうです。
社員のTOEICスコアも平均で170点伸びたということで、トップダウンで短期間でガッと活をいれてみたら、目に見えて成果も上がったというわけですね。
まぁ以前も書きましたけど、これは当然といえば当然の結果。
会社の業務となると、昇進だのクビだのがリアルにかかってきますからね。
4コーナー手前でピシピシ鞭を入れられて、周囲も一斉にゴールめがけてなだれこんで盛り上がっている環境下、自分ひとりだけノホホンとお茶をすすっているわけにもまいりません。
経営陣は社員に、英語力の上達スピードアップを求める。
社員も会社と自分のためにガンバる。TOEICの平均スコアもみるみる上昇。
グローバル市場への対応が進んで、会社の業績もますますアップ。
他の国際展開するサービス企業も、成功例に続けとばかりに追随…。
と、みんながハッピーな好循環になるんでしょうか?
…わかりませんね。先のことなぞ、ホントにわかりません。
ただひとつ、まぁ間違いないだろうと思うのは、この手の外部強制的アプローチで短期間で身につけた英語・英会話力は、万一その環境からいったん遠ざかることにでもなると、実力をキープしていくのがものすごく難しいということですね。
転職とか、あるいはなにかのはずみで会社の経営方針が変わってロシア語必須(笑)になるとかね。
英語に限りませんが、なんでも急スピードで身につけたものは、急スピードで忘れるリスクを内包しています。
昇進なりノルマなりリストラなり、ある種の強迫観念に似た気持ちがテコとして働いている場合はなおのこと、その支えがもし無くなったときは、脳がそのとたんに「忘れてOKダヨ!」とゴーサインを出してきます。
これがまた(積み上げてきたブロックを、自分の手のひと振りで壊すに似た)ある種の快感だったりするので、あれだけ毎日使っていた英語もいつしか使わなくなり、かつて英語をペラペラと操っていた自分というイメージだけが、残像として記憶に残っていたりします。
英語をまったく使わない会社に転職して慣れた頃、1年ぶりに外国人と話す機会があったので久々にしゃべってみると、アレ?単語が出てこないぞ、こんなはずでは…となってしまう人も、でてくるわけですね。
これを防ぐには、英語を外部から強制され心理的に負担感を感じる環境に、常にわが身を置き続けなくてはなりません。
いわば退職までの長期間にわたる「社内留学」のようなものです(そういえばかつて「駅前留学」というのがありましたが)。
会社に勤め続けるのがベストと判断する社員も増えますから、結果的に社員の定着率もあがって、経営的にもいいことですよね。
しかしマネジメントサイドはそれでいいにせよ、学ぶ側としては、外からのなかば強制的なアプローチによって英語が上達したという自覚を持っておく必要があると思うわけです。
そしてもし、外的圧力が無くなることがあった場合、そのようにして身につけたものなぞ案外モロいものということも、心の片隅に置いときましょう。
最終的には、会社の業務命令などの外的な圧力を、自分の内面の向上心にうまく昇華させることができる人が、「財産としての英語力」を手に入れることができるのだと思います。
そしてこういう環境に無い人や、日本語オンリーの会社に勤めている人も、別に英語漬けの会社をウラヤむ必要もありません。
英語・英会話上達のための道は、一本だけではありません。
外的・心理的強制を必要としないアプローチで、ゆっくりと時間をかけて最終的に英語をモノにする方法を選択すればよいだけです。
最後は、また2年前の記事と同じセリフで締めちゃいましょう。
歳月が過ぎても、言いたいことはやっぱり同じですね。
『でも本当に真面目な話、海外留学できずとも、職場が日本語オンリーであろうとも、そして住んでいる街に英語を話す外人さんが一人もいなくたって、そのための勉強さえ続けていれば、少なくとも自分の英語・英会話力にそれなりの自信が持てる程度には、ちゃんと上達するものですよ。』