英単語やフレーズ、「おぼえたものを忘れる」ことについて考える(2)。
前回の記事から間が空いてしまったせいか、はたまた忘れることに関わる記事を書いていたせいか、前回の続きとして書きたいと思っていたことを結構忘れてしまったような気が(笑)。
英単語や英語のフレーズをせっかくおぼえたにもかかわらず、なぜ忘れてしまうのか?ということ自体について考えてみたほうがいい、と前回書きましたが。
その伝で、「今回の記事のネタにしたいことをなぜ忘れたのか」を、ワタクシ自身立ち止まって考えてみました。
理由のひとつは、「何が何でもこのことを読み手に伝えたい」という強い思いが、すでにだいぶ薄まっていたこと。
前回の記事で大事なことから書きはじめていき、重要だと思ったことはほとんど書いてしまったつもりだけれど、少しだけ言い残しがあった…という感じでした。
そのためシリーズ記事にしたのですが、メインディッシュのサーブが自分なりに終わった感触があったので気がゆるんでしまい、それこそ「脳が解除指令を出した」のだと思います。
もうひとつの理由は、実は前回の記事をアップロードしたあとに、続きとして書きたいことをいくつか、走り書きのメモ程度に残しておいたんですね。
そのせいもあって、「次はこのメモを見直せば、だいたい思い出すだろう」とタカをくくっていたわけで。
これでさらに、脳が安心してしまったらしい。
脳の「気がゆるんだ」だの「安心した」だのと、言い回しはヘンですが、ま、言いたいことはわかっていただけると思います。
このまま脳をヒト扱いして、話を進めます。
たぶん脳科学者の茂木健一郎先生の著書とかを読んだほうがいいんでしょうけど、ワタクシが体感的に思うに、脳というのは「お調子者で飽きっぽくて、目を離すとすぐ油断したり怠けたりするヤツ」なんですよ。
だから何かを脳に刻み込もうとするときは、脳が何かしらある程度のショックを受けるやり方のほうが良いと思うわけです。
英単語や英会話フレーズならば、二次元の紙の上で見るよりは、目の前にいる三次元のネイティブスピーカーに実際リアルに口に出してもらう、文章でなにかしらしゃべってもらう。
そのほうが、やはり圧倒的に記憶に残ることは確かです。
ま、そう考えると、英会話学校や海外留学が一大ビジネスとして成立してきたのも道理ですな。
ほかのショックの与え方としては、脳に対する必要性をなんとかして作り出して、脳に対して「その単語は必要なんだよ」と、手をかえ品をかえアピールする。
自分ひとりでコツコツと英語・英会話を勉強するときは、こちらのアプローチのほうが実際的だし、いっそう効きそうです。
つまり自分の脳に対して、五感をフル活用したいわば「プレゼンテーション」を行うわけです。
たとえばにおいや味にかかわる単語を覚える場合には、できるだけ実際にその元となるブツが目の前にあったほうがいいですね。
そして単語をみて発音しながら(ついでに料理なんかもしつつ)、実際にその物をなめたり匂いをかいだり、あるいは食べたりする。
すべてにおいてこのアプローチが使えるわけでもないですが、「五感をできるだけ総動員する」ほうが、脳をより強く揺さぶることができることは確かなようです。
ただし、脳は主人のあなた同様(笑)気まぐれでわがままで怠け者なので、おぼえるときにせっかくショックを与えたにもかかわらず、よほどの強い衝撃でもない限り、ショックを受けたこと自体を含めて内容をすぐに忘れてしまうんですねぇ、これが。
数年前にみてショックだったはずのサスペンスやホラー映画のストーリーを、今やほとんど忘れてしまっているのと一緒です。
ショックを与えて脳内に引き込むアプローチが有効なのは、どうやら入り口のところだけ。
その後はしばらく、記憶の維持をおっくうがってすぐ解除ボタンを押しそうになる脳をきびしく監視して、それなりにしつけることが必要になります。
ひらたく言えば、「記憶したものの反復(復習)」ですね。
まとめると、脳に「おぼえる」という仕事をぞんぶんにさせるためには、1.「ショックを与えて脳内にぶちこむ」 → 2.「いったん脳内にストックされたものを、脳の自己判断で勝手に解放しないようきびしく監視し、時には叱り飛ばし、完全に巡航速度に乗るまで決して油断させない」という、二段階のアプローチが基本的には必要なわけです。
この片方が欠けると、おそらく脳は欠けた部分を「おサボりのための逃げ道」と捉えて、すかさず仕事を怠け、記憶のパフォーマンスを落としにかかります。
ワタクシは脳の専門家ではないのですが、これまでの経験からだいたいこんな風にとらえています。
だから新しい単語をおぼえるときは、何かしらのショックを与えることをまず考えますし、復習についても、たとえ反復練習のペースが遅かろうと、最初からかなり長期間やるつもりで臨んでいます。
この二段階のアプローチをこなしたあとで、最終的に脳を完全にほったらかしにしていっさいの刺激を与えずとも、必要ならば反射的に口をついてでるような英単語やフレーズを、ひとつでも多く自分のなかに多く残すようにすること。
これをミッションにしています。「血肉にする」というヤツですね。
ま、これはあくまでワタクシのやり方、ひとつのアプローチです。
いわば「最後の最後に、自分のなかに残るモノ」を重んじるやり方ですね。
いついかなる時・どんな状態であっても、その英単語なり英会話フレーズなりを確信をもって使えること。
新しい単語をおぼえようと単語本などのページをめくるたびに、やっぱりその状態まで持っていきたい…と、いつも思います。
ところでこの「英語・英会話 上達そこツボ!日記(そこツボ)」も、一年以上ほそぼそと書き続けているせいもあってか、この間アクセスデータを見ていたら、いつの間にかリピーターさんの割合が4割近くになっているんですよね。
ありがたいことです。
繰り返し訪れるような英語・英会話学習者の参考になるよう、多少なりともお役にたつことを書かねば…と思う一方、妙に力んでしまって脳が「気どってしまう」と、我ながらなんか空回りした、イマイチな内容になってしまったりします。
脳っていうのは、緊張させとかないとおぼえたことはすぐどんどん忘れてしまうくせに、ゆるんでリラックスしているときのほうがクリエイティブな部分ではかえっていい仕事をしたりするから、やっかいですな。
しかしいずれにせよ、脳は取り替えのきかない、生涯のパートナー。
おだてたり叱ったり、なだめたりすかしたりながら、なんとかいい仕事をさせたいものであります。