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    2008年09月04日

    英単語やフレーズ、「おぼえたものを忘れる」ことについて考える(1)。


    「忘れる」ということは、「記憶のとっかかりとなるものがなくなった」状態だと思うわけです。

    もっと言えば、脳が「これは、おぼえておく必要性がない」と判断して、あなたの記憶のひっかかりからそれをとりあえず一時的に外したか、または永久に取り除いたということ、ですよね。

    おぼえては忘れ、忘れてはまたおぼえることを繰り返す日々を何十年もおくっていると、「忘れるということ」について、ついツラツラと思いを巡らしてしまいます。


    最近よく思うのは、「忘れるにまかせることも必要だ」ということですね。

    よく知られているとおり、一夜漬けで急速におぼえたものなどは、試験などが終わったとたんに、潮が引くように忘れてしまいます。

    人間というものは、忘れるべきときに忘れる必要があるものを忘れないと、これはこれで苦しい…という面も、なにかとあるんじゃないでしょうか。

    一夜漬けの暗記内容を忘れてしまうことを明らかに負荷のかかった脳を休ませ解放する作用と見るなら、逆にいつまでもおぼえたままでいては身体によくない…とすら言えそうですよね。


    光あるところ影がある(サスケ?古い?)ように、忘れるという行為が存在してはじめてなにかをおぼえる、という所作が成り立つように思います。

    しかしこの「忘れる」という感覚を、ある程度楽しむくらいでありたい…と最近強く思うようになりました。


    一度、新しい英単語をおぼえる。

    数日たってそれを見直してみて、「どの程度の忘れかたなのか」をチェックし、「なぜ、そのような忘れ方をしたのか?」を立ち止まって考えてみるのも、なかなか面白いと思うのですよ。

    もうほとんど見たおぼえがないくらい、見事に忘れているのか。

    あるいは、学習したことや見たことはたしかにおぼえているのに、意味だけがどうしても出てこないのか。

    それとも、もうノドまで出かかっているのに(たとえば、これは「快」のイメージがある単語だったとか、「悲しい・つらい」イメージの単語だったとか…)正しい対訳語がどうしても出てこないレベルなのか。

    忘れ方にも、いろいろステージのようなものがありますよね…。


    で、あと一歩のところまできているような忘れ方なら、それは気にしないことです。

    いずれは血肉となって、今度はなかなか忘れられなくなりますから。単に「時間の問題」です。


    次に、数日前にチェックしたことはおぼえているが、今こうしてもう一度見てみると、まったく単語のイメージがわかない。こういう場合は、もう少し実験を続けてみましょう。

    英会話フレーズならそのままでよいですが、英単語の場合、できればその単語が入ったワンフレーズを一緒におぼえるようにします。

    そして次に、単語だけならおぼえている自信はないが、文章と一緒ならなんとなく思い出せるというレベルなのかどうかもチェックします。

    単語がよいイメージなのか、悪いイメージなのか、中立的なものなのか(品詞とか)くらいの判別ならつく。


    こういう段階ならば、これも治療(笑)は、そんなに大変じゃない。

    しばらく緩やかに、反復練習を繰り返してみましょう。

    英単語と、単語が使用された文章を眺め、思い出せるかチェックする(このとき、発音とアクセントが正しくできるか、実際に口に出してのチェックは必ずやりましょう)。

    ノド・口・耳にあなたがその単語を発声チェックしたという跡を、実績として残す必要があるからです。

    それを日々繰り返していれば、いずれはおぼえると思いますよ。


    え、言い方が無責任?そんなに簡単じゃないって?

    そんなことないですって。


    いいですか、アナタが英単語を覚えられないといって苦しんでいるのは、「あまりにも短期間に」しかも「キャパシティを超えるくらいに大量の英単語を、しかも一度に自由自在に使いこなせるように、おぼえようとしている」からなんですよ。

    そうしようとする(あるいはせざるを得ない)理由こそ、やれ試験だ海外出張だと色々とおありでしょうが、そういった制約となるタガを外して、「ま、そのうちにおぼえてるさ」くらいのゆっくりしたペースで、繰り返しおぼえる作業さえ続けているならば、おぼえる分量さえ適正なら、いずれはおぼえきることができるものなのですよ。

    この世のあらゆることがそうだとまでは、さすがにイイマセンが。円周率三万桁とか、そういうのは無理でしょうけど(笑)、たかだか英単語くらいならね。


    ほとんどの場合、すぐにおぼえられないのはただ一緒に「なんらかの無理」をしているからなんです。

    たとえば、「その英単語を毎日見てチェックすること」だけを条件に、新しい英単語を100個おぼえるという課題が、アナタに与えられたとします。

    これを三日で覚えきるのは、どうですか?エ、無理?

    結構。では、一週間では?ちょっと無理かもしんない?わかりました。

    では二ヶ月、あるいは三ヶ月では?たぶん大丈夫。

    それでは半年、いや一年では?

    さすがに一年もらえれば、100個おぼえきること自体は、それほど難しくないと思いませんか?


    この場合、たとえば時間的制約をとっぱらって、純粋に「英単語・英会話フレーズをおぼえる」という課題だけを取り出してその遂行をめざすとき、覚えようとする意思さえ持ち続けられるなら誰にとっても、そんなに困難なことではないはずなんです。

    しかし現実には(単語数とか、試験日とかの)よけいな付加条件を、たいていの場合セットで自分自身に課すことになるのでミッションの難易度がいっきに上がってしまうわけです。

    「来月まで200個必達!」とかね。

    まずこの点を、よく認識してもらいたいですね。

    ミッションを難しくしているのは、おぼえるということそのものがもたらしているのではない、つまりはそういう付加条件のせいなのだと。


    あ、誤解ないように言えば、そういう風に期限を設けてやること自体がよくない、と言ってるわけではないですよ。

    会社の業務命令で海外へ商談に行くことになったとか、自分のコントロールできない外的要因でやらざるを得ないことは、もちろん往々にしてあるわけですからね、忙しい現代人としては。

    ま、ただ期限に追い立てられるようにして無理やりつめこんでおぼえたり身につけたりしたものは、そのイベントが終わって放置していると脳が自動的に解除指令を出しますので、いずれは必ず忘れますけどね。せっかくいったんは身につけたのに、モッタイナイお話です。


    ここで本日言いたかったことをまとめると、「忘れるには忘れるだけの理由がある。忘れてしまったなら『自分はどうしてこれを忘れたのか』という理由についてあれこれ考えてみると、いろいろと気づきがあるよ」ということ。


    そして二つ目は、「おぼえられないのは、おぼえにくくなる方向にハードルをあげている(高く設定されている)から。よけいな付加条件を取り除いて、おぼえるという作業だけに集中したら、大抵のことはおぼえられるようになっている」ということ。


    さて、この話はもう少し続けるつもりですが、ちょっと長くなりましたので、次回に回します。