英会話学習本、近頃は良書多し。またまた、必読の一冊。
気のせいかもしれませんが、最近は英語・英会話学習本の質がなんだかグッと上がってきているようで、「これはいいな」と思える本が、いくつも目につきます。
新刊のようですが、この英会話学習本、オススメします。
英会話の正体―地道な努力が報われる本(山本大 著 国際語学社、1,365円)
以前ご紹介した、「ネイティブ信仰はやめなさい」(当ブログの紹介記事はこちら)と一緒に、この本もぜひ読んでいただきたいですね。
この二冊は、英語・英会話学習にたずさわる者ならば、読んで絶対に損はしないと思います。
この二冊の著者に共通するのは、やはり数十年にわたりこの日本で日本人に英語・英会話を教え続け、その習得に苦しむ日本人の姿を、見続けてきたことでしょうか。
そして、これまで喧伝されてきた「俗説」としての数々の学習法が、日本人の英語学習において必要なプロセスではないということを、実体験を加味しつつ、わかりやすく説明している点でしょう。
俗説とは、「Think in English、英語で考えろ」「英語は聴けなければ話せない」「ネイティブとたくさん会話することが大事」「文法は気にせず、どんどん話してみよう」といったようなことですかね。
他にもたくさんありますけど。
"Think in English"については、英会話学校でそうやって生徒を指導しているネイティブの講師たちが、おそらく今でもたくさんいるんでしょうね。
(これは私見ですけど、"Think in English"はうまくなってはじめて、やるべきことです。ビギナーとして英会話学校に来ている生徒には、むしろ禁句の部類ですね。)
あと、「聴けなければ話せない」というのは、ものの言い方として「宝くじは、買わなきゃ当たらない(そういや、年末ジャンボの季節ですな)」とかいって、たくさん買い込む人になんだか似ている…と思いませんか。
宝くじをどれだけたくさん買っても高額賞金がまず当たらないのと同様、いくらたくさん聴いたところで、それだけで「ある日突然、英語が口からあふれだす」(といって、新聞広告などで大々的に宣伝している英会話教材もありますが)…なんてことは、フツウ無いんですよね。
そこまではウスウス直感的にわかっていても、ではナゼ?そうならないのかについては、きちんと説明できるでしょうか…。
この「英会話の正体」では、その理由なども噛み砕いて説明してくれており、読んでいてナルホドなぁ…と思わせてくれる部分が、多々あります。
あまり中身を書いてもなんですので、詳しくは本書を読んでいただきたいところですが、他に個人的に有益だったのは、「英会話は、長いセンテンスを制覇することが必要」というところでした。
最近、つい4、5ワード程度の短い文ばかり、たくさん口慣らし的に練習していることが多かったもので、これにはハッとしましたね。
「8から15ワードくらいまでの文章なら、ひと息で区切らずに読む練習が大切」といった「センテンスの区切り」を英会話学習の必須ポイントとして非常に重視する本は、知る限りでは、はじめて見たように思いました。
さっそくこの本の中にプレゼントとしてついている、長い例文の丸暗記をやろうか…と、思った次第です。
この本や上であげた「ネイティブ信仰…」などを読んでいると、「英語・英会話を教えるのに一番最適なのは、経験豊かな日本人がベスト」であることが、あらためてわかりますね。
ネイティブ、とりわけ欧米人の講師をたくさんそろえている英会話学校で英会話を学ぶということは、ビギナーにとっては、あるいは真逆の方向になるのかもしれません。
でも、英会話学校で「経験豊かな日本人が教えます!」と宣伝したら、クロウトの生徒さんしか来なくて、商売にならないんでしょうねぇ、やっぱり。
ということで、すこし話がそれちゃいましたが、とても読みやすい編集ですし、中級者の方にとっても、いくつもの「気づき」がきっとあると思います。
ぜひ、目を通していただきたい一冊ですね。