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    2008年08月03日

    英語が「技術」である前に「言葉」であることを、思い出させてくれる一冊。


    本日は、オススメ本のご紹介です。

    この本、読みおえるとすぐに英語力・英会話力アップを実感する、という類の本ではないのですが。

    ただ、英語がうまくなりたい一心で日々英語表現や英単語の暗記・TOEICの問題練習にあけくれているようなヒトには、ぜひ手もとにおいて、たまには目を通してほしいタイプの本ですね。


    英語の品格  ( 石井隆之 白石よしえ 共著、 三修社、1,500円)


    ま、タイトルをみたときは正直、「また品格本かよ」と、チラと思ったことは確かですが。

    しかし、表紙にも『英語の「品」と「格」に関する言語学的教養・実践書』と銘打たれているとおり、英語という言葉の持つ品格について、一冊を通じていろいろと異なる切り口で、読みやすく書いてあります。

    したがって、「看板に偽りあり」ということは、決してありません。

    「言語学的教養・実践書」と書いてますが、比較的実践面の方にウェイトを置いているように思えます。
    英会話・英作文・英文法の学習という面から見ても、得るものは多いでしょう。


    ワタクシは英語の勉強をはじめてまもない頃、英語や英会話なんてとにかく「数」だ、単語やおきまりフレーズのおぼえる「数」をこなして、アタマの中で膨大な量のネットワークにしてしまえばいいんだと、割と単純に思っていたものです。

    ストックさえしっかりしておけば、あとは脳からの、素材の取り出し方だと。

    だから学習初心者のひと頃は、ひたすら英単語や英会話フレーズをおぼえては、速いスピードでアウトプットできるようにひたすら口に出し、あるいは紙に書いて…という「作業」に、英語学習の大半を費やしていたものです。

    初心者がとるべきアプローチとしてはわりと正しかったかな…と、基本的には今でも、思ってはいるのですが。


    ただ、今回この本を読んでみて、もし勉強をはじめた頃に、きちんとこういう本を何冊か読んでいたら、英語を学ぶということの意味を、もう少しちゃんと見すえて勉強できたかもな…と感じました。


    たとえば、この本の中にもでてきますが、ワタクシは初心者の頃は、”Have some sandwiches."が、日本語の「サンドイッチをどうぞ」のニュアンスになると説明されても、どうしても心理的抵抗感がぬぐえませんでした。

    いつもつい先頭に"Please"をつけたくなったものですし、つけないと「食えよ、オラ」みたいに思われるんじゃないか、だって命令形ってそういうもんだろ…という感覚から、なかなか離れることができなかったわけです。

    学習を始めた頃にも、もちろんそれでOK、と書いてある参考書はありましたし、あちこちで読んでいたはずなのですが、ただ拒否反応のようなものはぬぐえなかった。

    「命令形」という文法用語が、アタマにこびりついていたせいもあるんでしょうけど。


    こんなことについてもこの本は「勧めること」と「頼むこと」の丁寧さ、という視点で、両者の違いをわかりやすく解説してくれています。

    ポイントについては要所要所で「品格表現のコツ」としてまとめてありますので、これをおぼえておくだけでも読む価値がありますね。


    あと、ところどころにはさまっている『イギリス上流階級の「品格ある」英語』というコラムも、個人的にはツボで面白かったです。

    ま、アナタやワタクシのような普通の日本人学習者にとっては、イギリスの貴族と会話する機会なぞまず無いでしょうけど(あったら失礼・笑)。

    それでもこういう話を読むと、言葉の裏にはりついている何かしら重たい歴史のようなものがかいま見えて、我々が学んでいるのはたんなる「技術」ではなくて、生きた血の通った人間が話す「言葉」なのだなぁ、とあらためて思ってしまいます。


    たとえば、イギリスの貴族は初対面の自己紹介のときにHow do you do?を使い、I am pleased to meet you.とは決して言わない、とか。

    同じく「もう一度言ってもらえますか?」というとき、イギリスの貴族は決して"Pardon?"とは言わない、とか。

    面白いでしょ?皆さん、どちらも普通に使う表現だと思うのですが。

    なぜかという答えについては、本を是非読んでくださいな。


    ということで、英語や英会話の上達を目指すことって、やっぱり「言葉」という奥深い世界への探検なんだ、という当たり前ながらも忘れがちなことについて、あらためて気づかせてくれる本です。

    英語がうまくなりたいアナタには、ちょっと涼しい日の午後のティータイムに一時間くらい時間をとって、ゆったりした気分で読んで欲しい一冊ですねぇ。

         
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