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英語リスニング、全力で100%を聴き取りにいく姿勢こそが力を伸ばす。


もう一週間ほど前の事件になりますが、新千歳空港の滑走路で、飛行機が無許可で離陸しそうになり、あわやもう少しで大事故か…というニュースがありましたよね。

で、管制交信を通じての英語表現を言い違えた、聞き違えたというような話が、発生の原因としてあげられています。

管制用語としてのtake offとdepartureの意味する範囲を取り違えたとか、あるいはexpectの部分を聞き漏らして離陸許可と勘違いした…といったことが、新聞では報じられていました。


もちろん、指示を復唱して再確認しなかったこととか、英語の聞き取りミス以外の理由もおそらくはあるのでしょうが、ワタクシは単純に、これは恐ろしい話だなぁ…と思いましたね。


ちょっとした聴き取りミスが惨事につながりかねない、ということ自体の恐ろしさももちろんあるのですが、パイロットのように、多くの人命を預かる飛行機の操縦・離着陸というものすごい緊張を強いられる場面で、日常的に英語を使っている人のするミスにしては、これはあまりな凡ミスのような気がします。

管制交信はほとんどすべて英語で行われるとはいっても、使う英語表現だって割と定型的なはずですし、数や種類だってそうは多くないはずですよね。


つまり、「英語を日常的に業務で使い慣れた者が、高度の集中力を必要とされる環境で、定型的でよく聴きなれたはずの英語を聴いたにもかかわらず、聞き違えによる深刻なトラブルが生じた」わけです。


この事実に、「そう簡単に克服できない世界の存在」のようなものを感じて、ちょっとブルッとしたわけです。

英語を学ぶ者にとって、こういうのは、ちょっと考えさせられる話はないでしょうかね。


ところで、その英語リスニング。

ワタクシの個人的な体験として、少しアドバイスめいたものを申し上げたいと思うのですが。

あくまで自己評価ではありますが、何を言われてるんだかさっぱり聴き取れずに、独りモンモンと苦しんでいたかつての自分と比べてみると、さすがにリスニングの力はずいぶんと上がったものだ…と実感する瞬間が、実は内心で時たまあったりします。

もちろん、ほとんど聴き取れず理解不能、細々と積み重ねてきた自信をコナゴナに打ち砕かれる瞬間も、いまだひんぱんにあることも、これまた事実ですが…。


それはともかく、いったい我ながらどうしてここまでリスニング力が伸びたのか、その理由について、考えるともなく考えてみるときがあるのですが。

実は、いくら振り返ってみても、これといったはっきりとした理由は、いまだに思い当たらないんです。

おそらく「膨大な量の聴き取りを、膨大な時間をかけてやったから」ということだけは、まず確実だと思うのですが。


とにかく「このリスニング学習法でやったから、上達した」といった、ある特定のアプローチに頼った結果でないことは、確かなようです。

かじるだけはたくさんかじったものの、結局どれも長続きしませんでしたので(笑)。

で、今から過去を振り返ってみて、リスニング向上にはっきり寄与した理由としてあげられそうなのは、結局、わずかに二つだけのような気がしています…。

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ひとつは、いま書いた通り、結果的にリスニングの絶対量を確保できたこと

これからリスニングの強化をはかるならば、まずは色々な状況で色々な人によって語られる色々な英語を、たくさん聴くことに努めるのがいいんじゃないかと思います。

いろいろな国々の人たちが喋る英語を、短い内容と長い内容、ゆっくりしたものから超スピードのものまで、いろいろ幅広くとりまぜて聴く。


むろん、仕事で英語を聞きとる必要に迫られている人が、オフィス英語を中心にリスニングの勉強をしていくことは、効率的であるのは確かです。

ただ、それは狭い局面における達成率がよいか悪いか、という話に過ぎない。


「絶対的なリスニング力の向上」という面からみると、結局のところは、聴き取る内容や学習する順番の問題ではなく、聴き取り訓練のためにどれだけのエネルギーと時間を費やせるかという問題だと思いますね。

ちょうど、我々が日本語を覚える過程において、聞くものの内容を選ばなかったように。


もちろん、たくさんの量を聴きとっていくなかで、今の自分の実力では全くわからない、会話のスピードが早すぎてお手上げといったことはひんぱんに出てきます。

そこで、二つめのリスニング上達理由に思い当たりました。ワタクシとしては、こちらのほうを特に、強調しておきたいですね。


それは「聴くときは全神経を集中し、100%聞きとってやろうという姿勢を持っていたこと」、です。

theやa、複数形のs、語尾の弱く終わるゴニョゴニョしたところなんかも含めて、「たとえ一語たりとも」聞き漏らすまいという姿勢で、聴く。

これは、英語のリスニング練習において、本当にものすごく大事なことなのではないか…と今にして思います。


念のため。「100%聴き取れなければ失格」、と言いたいんじゃありませんよ。

ここは大事なところなので噛み砕きますが、「完全に全部聞き取ってやる、という意気込みとテンションを持つことで、はじめてリスニング力も伸びるんじゃないですか」、といいたいわけです。

ポイントは「聴くときの、緊張感と集中力の持続」であって、すべて聴き取れたか否かという「結果」の中にはないのです。

言い換えれば、いわゆる聞き流しを主体とした学習アプローチでは、24時間365日というくらい時間を投入しない限り、上達は無理筋でないの?という立場に、ワタクシは立つものです。


学習・訓練としてのリスニングには、「緊張」が必要なはずだから。

いつも「緊張」して聴くようにすることで、カラダが緊張慣れしてくるにつれ、リスニングもだんだんと楽になってくるのです。


だから個人的には、一日にあまりたくさんのリスニング練習はできなかったですね。

とにかく一生懸命聴いていると、疲れてくるので。スタミナもあんまりないんですが(笑)。


それくらい、英語を聴くときは力んで、パーフェクトに全部意味を掴まえてやる…といつも思いながら、聴くようにしていました。

わからない部分は類推するように努めましたし、聞き取れなかった部分については、会話が終わったずっと後になっても、当人が何を言わんとしていたのかについて、あれこれと時間を使って考えてました。

昔ほどのしつこさは薄れたものの、基本的姿勢としては、いまだに同じです。

世には、聞き流すだけで英語のリスニング力が上がるといった方法論がたくさんありますし、私も学生時代は、FENなどを一日中かけ流していました。

しかし、聴き取る力をある程度つけた今、振り返ってみて、そのやり方でリスニング力をつけたのか?と問われれば、やはり「違う」と答えますね。


冒頭の無許可離陸の話に戻れば、緊張した仕事の現場で、毎日似たような英語で交信しているパイロットですら、交信内容を聞き違えることがあり得るわけです。

これは、生半可に聞き流すやり方では、しょせん外国語は聴き取れるようになるものではない、ということをはからずも示した、ある種の教訓のようにワタクシの目には映りました。


「聞き流す」と「聴きにいく」の違い。


ノホホンとバックグランドで毎日英語を聞き流しながら、自然にリスニング力が身についた…というのはやっぱり虫のよすぎる話だと、ワタクシはこのニュースで、あらためて思ったのであります。

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