頭でわかっているはずのことを、もう一度引っ張り出してやってみる。
あいわらず日本全国、酷暑モードですね。
さて、少し前の話になりますが、大リーグで活躍中の松坂について、ある評論家のコラム記事を、読んだことがあります。
うろ覚えですが、記事の中で、妙に印象に残った部分がありまして。
『松坂は、日本から来た評論家たちが、彼に対して何だかんだとアドバイスをするのを決してないがしろにせず、実に熱心に、耳を傾けて聞く。』のだそうです。
その評論家は、こんな風に話を続けていました;
『はっきり言って、松坂ほどのピッチャーに対して、外部の評論家が、アドバイスできるようなことはほとんど無いと言ってよいし、そもそも彼ほどのピッチャーになれば、評論家が指摘するようなことは、すべて自分自身が経験済みで、よく分かってることばかりのはずである。』
『それにも関わらず、松坂は実に熱心に、それら外からの言葉に、耳を傾ける。自分が頭でわかっていることを、外の声として、今一度確認し、実際にやってみるという姿勢を持てることこそが、彼の非凡なセンスを示しているのだ。』
だいたいこんな内容が書かれてあり、ナルホドね、と思ったものです。
考えてみると、英語・英会話の勉強にしても、たいていの人は、中学校ぐらいから何年もそれなりに、勉強を続けているわけで。
リスニングにせよスピークキングにせよ、上達のための効果的・効率的な勉強法については、たいていのやり方には触れて試してきたはずですし、「あ、その方法なら知ってる。」という状態にあると思います。
しかし、松坂と違って、我々凡人はどちらかというと、「あ、それ知ってる。」「あ、それもう、一回試した。」で話が終ってしまって、悲しいかな、そこから先へと、思考がなかなか伸びていかない。
自分の頭のなかで覚えているはずのことを、もう一度引っ張り出し、見つめ直して、やり方を変えて試してみたり、別のものと組み合わせてもう1度やってみたり、などということにまでは、なかなか思いが至らない。
そういう傾向が、どうしても、あるように思います。 …
これまでまがりなりにも、英語・英会話の世界に何年も触れ続けてきたことで、蓄積してきた知識や自分用ノウハウのようなものが、誰の中にも、それなりにあるはずです。
私たちは、「それはもう知ってるよ」とばかりイージーに、話を閉じてしまうこれまでの思考回路から抜け出して、身につけてきた英語・英会話力アップのためのさまざまなやり方をもう1度チェックし、磨きなおして使ってみる、という姿勢を、松坂に学んでみてもよいのではないでしょうか。
たとえば、「英文の速読」について。
・あなたがこれまで学んできた方法やテクニックは、どんなものがいくつくらいあるのでしょうか。
・それらを実際に、すべて試してみましたか。そしてそれを、どれぐらい続けましたか。
・その結果は、どうでしたか。ひょっとして、もっと辛抱強く続けていたら、成果が出てきたのでありませんか。
・効果がなかったとしたら、その理由は何だったのでしょう。
・他のやり方と組み合わせたら、効果がアップしそうなものは、なかったでしょうか。
そういったことを、もう一度チェックしてみては、いかがでしょう。
わかったつもりで本当は何もやっていなかったことに気づく瞬間、そして一つでも二つでも、何かしら新しい発見が、あるかもしれません。
こう暑い日が続くと、英語・英会話の勉強といっても、新しいことに取り組む気力が、ついつい薄れがちなものです。
そういう時は、英語・英会話がうまくなるためにこれまで自分が身に付けてきたはずのものが、本当に自分の血肉となっているかをもう一度見つめなおし、整理するための時間にあてるのも、よいかもしれませんよ。