(4)日本人にとっての英語・英会話
小学校からの英語義務化について、兼ねてより思っていることを書きます。
「小学校から英語を始めることそのものはOK、また民間機関が競い合って幼児・小学生向けに教育プログラムの販売なり普及なりをするのもOK、しかしながら、公的な義務教育のカリキュラムに組み込むのは反対」というのが、ワタクシの個人的な見解です。
前回まで書いてきましたように、「英語教育は早く始めれば始めるほど有利」かどうかは、正直わかりません。
知る限りでは、その効果を論じているもので、有力な支持を得ている見解はまだ無いですし、有力な学説すらいまだ確立されていない状態だと思います。
しかし、早く始めさせたいと思う親御さんがいるのは、この国際化の潮流の中で、そう思わないほうがむしろ不自然ですので当然ですし、いわゆる憲法の「教育の自由」の理念にそってますし、それ自体は問題ではないと思えます。
少なくともワタクシは、早期英語教育のどこがいけない?と言われて反対する、強力な根拠を持ち合わせておりません。
ただ、あまり早く始めても得られる効果はさほど高くないだろうな、とは漠然と思っています。
だから、費用対効果は決して高くはない行為だ、と感じていることもまた確かです。
一方で、小学校の義務教育に英語を完全に組み込むことは反対です。
なぜか?
その一番大きな理由としては、ですね。
「日本人に対する英語教育」という意味で、完全に確立し、万人の総意をほぼ得られている指導法は、未だにないはずです。
支配的なティーチング・メソッドがあるなら、今頃日本人は世界になだたる英語の上手な国民として評価されているはずですし、英語の学習方法が、こんなに玉石混交で乱立しているはずはないですからね。
「オトナの日本人に対してさえ、圧倒的に有効と認められる英語学習法がないのに、幼児や小学生にある特定の方法論を採用し、それを義務教育の名の下に強制して教えることは、現段階ではリスクが相当に高いように思えて仕方がない」のです。